主観器官

孤独に言葉を編んでいる。

【ネタバレあり】これは私の物語『The Witcher 3: Wild Hunt』【プレイ感想】

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 無事、『The Witcher 3: Wild Hunt』をクリアした。

 率直に言ってしまえば、一週目では足りない

 そんなところだ。

 

 ただ、switch版も出たり、ドラマ版も制作中なので言いたい事は「買って損はない」……だ。

 迷うぐらいなら、買うんだ。買った先に、広大な世界が待っている。

 

 購入していない人はあまり見ないで欲しい。

 

 

◇分岐するエンディング/仔細な変化

 

 エンディングは3種類用意されており、プレイヤーである自分が主人公:ゲラルトを操りながら、選択した道によって結末が異なってくる。

 このゲームの凄いところは、その『変化』の細かさだ。

 

 膨大な世界でありながら、完璧に世界を構築していて、プレイヤーは若干悪い操作性に慣れながら、世界の旅に出る。主人公には明確な目的がありながらも、多くのサブクエストを〈ウィッチャー〉という変異体として担っていく。

 

 このサブクエストは多種多様な者が存在する。大抵は、化け物の討伐であるが、そこには人間の醜さ、世界の残酷さを知らされる。決して本編だけでは見られない絶望がここにある。

 

 自分は総プレイ時間が65時間ほどであるが、2年をかけて完走した。あまり当時は熱が入っておらず、飽き性もあいまって投げ出していた。少年が空き地でたまたま拾った野球ボールのように、一度投げたらおさらばだったのだ。

 

 だからこそ、本編の内容は希釈だ。記憶は鮮明ではない。なので、この記事全体は、物語の後半部分を中心的に書きなぐっている。中途半端な、僕の感想なのだ。

 

 そして、以下には印象的なサブクエストの感想を記述する。

 

 物語は終盤。
 
 サイドクエストの『猫と狼が遊ぶ場所』がとても印象的だった。このクエストは、小さな集落であるオナートンにて、惨殺事件が行われており、一人の少女だけが生き残っていた、というもの。
 
 その少女によると主人公:ゲラルトと同じウィッチャーが少女以外の村人を殺してしまったそうで、ゲラルトは犯人の痕跡を追う。
 
 そこで出会ったゲータンと呼ばれる〈猫流派〉のウィッチャーは、村人の依頼をこなしたのに対し、約束の報酬とは違う12クランという少額で感謝を述べられ、怒ってしまう。この世界ではよくあることだ。命がけで助けた村人に、命をかけて戦ったと等価値の金額は払えはしない。何か理由を述べ、逃げようとする。そういう世界だ。どちらが悪で善なのかは、どうでもいいことだ。
 
 怒っているゲータンを宥めるために、村長は隠している財宝がある、と誘い込むが、それはゲータンを殺すための口実に過ぎなかった。そこでゲータンは深手を負いながらも村人との戦闘をし、死体を作り上げていく。死んでしまった自身の妹と似ていた少女だけは逃がしてあげた。
 
 僕はゲータンを解放したのだが、そのあとで派生してクエストが出現する。
 
 『好きなものを持っていけ』では、助けたゲータンに自身の寝床を主人公:ゲラルトに教え、そこに隠された財産と手紙をくれる。
 
 そこに記述してあるのは〈猫流派〉は滅んでしまう、というもので、その寝床には討伐した怪物の首が飾られてあった。それもまた、報酬を値切られ、少額で民を救済していたゲータンの残滓だった。その背景がとても悲しく、ウィッチャーという悲しき生き方を物語る。
 
 そしてもう一つ。
 
 『依頼:スケリッジの賞金首』にて、ゲラルトが何者かによって殺されそうになる出来事の渦中にいる。そんな中で彼を脅かそうとしたのは、怪物たちだった。
 
 そこでゲラルトは狼男に貴様は人殺しだ! 俺たちも殺すつもりだろ! と問われるが、自分は理性のあるものを守る。ウィッチャーは人間と怪物の狭間にある存在であり、どちらにも脅威となるものを倒す、とウィッチャーのあり方を語った。
 
 といった具合に、世界の情勢やウィッチャーとしての生き方を本編ではないサブクエストで教えてくれる。
 
 寄り道というのは、大事なんだな、と教えてくれるゲームでもある。
 
 
◇これは私の物語
 
 1週目は、無事に欝々としたものではなく、ウイッチャーエンド。他2種類のエンディングはまた再びじっくりと見たい。
 
 このウイッチャーエンドを自分は最初に見られてよかったな、と思う。
 
 とても清々しい終わり方なのだ。
 
 〈古き血脈〉として囚われていたシリラが、今度は自身の選択した道を歩んでいく。シリラは、プレイヤーとは違って、自分で選択した道を歩いてはいなかった人物。追われたくもないワイルドハントに追われて、望んでない古き血脈というしがらみを背負っている。だからこそ、このウィッチャーエンドは、それらを俯瞰して、自身で歩く尊さを描いて終わる。
 
 これは私の物語なんだ、と口にした少女を前に主人公であったはずのゲラルト及びプレイヤーは胸を打たれたはずだ。この少女もちゃんと主人公なんだな、と。
 
 そしてケィア・モルヘンでの決戦やシリラの復讐劇には魅了され、人間ドラマがある。彼らは人間ではないけれど。
 
 
◇操作バランス
 
 残念な点をわざわざ上げたくはない。
 
 揚げ足取りの様なものだからだ。終わりよければすべて良しの精神で生きたいが、冒険中にゲラルトさんが面白い行動ばかりをするので、それらを踏まえてもう少しここは改善してほしかったな、という所を上げる。
 
 大きく一つ上げるなら、操作バランスだ。
 
 ゲラルトを歩かせるときに、きちんと自分が彼を操作している、という充足感や重みが希薄的なのだ。これは推測に過ぎないが、あの重みがない、ゲラルトの歩き方というか、自分の操作がきちんと行き届いていない歯がゆさは世界観に規定したものだと思っている。
 
 中世には詳しくないが、鎧とか背負った剣とか、そういうものを加算した操作性ではないのかな、とも解釈しているので、一概に改善点としては上げずらいのだが、僕は非常にそれが面白おかしいところになってしまっている、と感じた。
 
 ゲラルトを操っているのに、勝手に転がったり、ジャンプで喘いだり、下に降りようとすればローリングを始めたりと、もしかして僕はこの世界でゲラルトを操作するのが一番下手くそなのではないか、と若干思ってしまった。
 
 ただ、上述している通り、世界観に沿ってのものかもしれないので、それを評価点として加算すればやはりこのゲームは世界観の規模が桁違いだな、と思ってしまう。
 
 勘違いしてもらいたくはないが、ゲラルトが身勝手にローリングすることが世界観や史実などに沿っているとは思っていない。そこまで馬鹿ではない。そういう意味でもない。
 
 
◇プレイボリューム
 
 自分は後半以外のサブクエストをあまり集中的にやらなかったが、それでも65時間のボリュームを堪能できた。
 
 そして、DL版も含めてやればもっと楽しめるだろうし、装備やミニゲームのグウェントなどに集中するなど、多岐の遊び方を想定されている。
 
 化け物退治に勤しんだり、トリスが今どこで何をしているのか、ストーキングしたり、やり直して塔での一夜を想いだすのもいい。あの女であろうとする一面をもちながらも、ゲラルトの前では甘々な女性を魅せるトリスの会話に耳をより集中するのもいい。
 
 
◇終わりに
 
 原作は小説なので、一応それも貼っておこう。自分もウイッチャーは本作から入った口なので、小説で補完をしていく予定だ。
 wiki等で世界観をおさらいしていくのもまた面白い作品だ。

 

ウィッチャーI エルフの血脈 (ハヤカワ文庫FT)

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